万引き家族

ご存知カンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞した作品です。お父さん、お母さん、お母さんの妹、子供、おばあちゃんが5人で暮らしています。お父さんは日雇い、お母さんはクリーニングのパートをやっていますが、おばあちゃんの年金とそして万引きで生計を立てています。そこに虐待を受けていた少女を保護して6人家族になります。本当は血が繋がっていない6人家族です。

少女を保護した時寒い冬で少女は寒い中傷だらけで飢えていました。ほんのちょっと暖かいところで保護して食事を取らせて帰らせるつもりでした。でも、送りに行ったら男女の争う声が聞こえてきて「生みたくて産んだんじゃない!」と叫んでいた声を聞いて、この子を保護しようと決めたのです。3カ月経ったある日テレビでその子がいなくなったことが報道されていました。何故3カ月もいなくなったのに警察に届けていなかったのか?非難は両親に向けられます。そこから徐々に6人家族に困難が襲ってきます。

本当の家族でないので、おばあちゃんが死んだときも公にできませんし、子供が入院した時も保険証とかないのです。社会から逃げるようにして生きていた家族に不都合が生じてきます。身代金も請求していないから誘拐じゃないと家族は思っています。虐待から小さな子供を保護しただけと・・・でも捕まった時、世間では誘拐犯になります。また、不器用に生きてきた家族なのでその辺もうまく表現できません。しかも万引きをしていたり、過去に死体遺棄をしたりしたこともあってとても不利に状況が進みます。

この映画の凄いところは押し付けがないこと。誰が悪いとか誰がいいとかそのような決めつけがない点です。少女は本当の親の元に帰りますが、母親に怒鳴られ、お兄ちゃんもいなく一人で遊んでいるシーンがなんとも切なくなります。本当の親と住むこと=子供の幸せではないというところも考えさせられて、だからと言って万引き家族の良い部分もクローズアップされることなく何となくモヤモヤしたやりきれない気持ちで映画が終わります。そのリアルさがパルムドール賞を取ったのだと思います。