空飛ぶタイヤ

池井戸潤氏の小説を映画化したものです。池井戸氏の作品は下町ロケットなどの代表作のように仕事をすることの難しさ、困難を乗り越えた時の何とも言えない充実感などが特徴で、私は池井戸氏の小説が大好きです。空飛ぶタイヤは大型トラックの脱輪事故で1人の主婦が亡くなりその脱輪原因がこの小説の主人公の経営する整備会社(中小企業)の整備不良と判断されたことから始まります。

主人公の赤松社長は調べているうちに自分の会社の整備不良ではないのでは?という疑問が生じます。そこにあったのは大企業のリコール隠し。過去にも同じような事件があり全て整備不良として片付けられていました。その犠牲となった中小企業に掛け合っても、もう過去の事だからと同志として戦ってくれる人はいません。俺がやらなくて誰がやる!と四面楚歌になりながらも赤松社長は奮闘します。

マスコミを使おうとしても上部で打ち消され、銀行からは借入金の早期償還を迫られ、従業員の一部は辞めていきます。それでも一人で戦う赤松社長の姿を見て心を動かされる人がいます。自分の中にある正義感のようなものが呼び起こされたのだと思います。家庭の中にも、会社の中にも、大企業の中にも、銀行の中にも・・・それで最後に大企業のリコール隠しが公になります。泣きそうになりました。また、この映画のテーマ曲のサザンオールスターズの「戦う戦士(もの)たちへ愛をこめて」がこの映画にピッタリです。