星の子

本屋さんで何気なく手にした本です。夏の夜に読みたくなる表紙でした。主人公の女の子は幼い時、体が弱くて両親は家と病院のあいだを駆け回る毎日でした。生後半年経った時、湿疹が全身に出て両親は父の同僚が勧める水を使ってその水を浸したタオルで優しくなでるように洗っていたら徐々に良くなり2カ月で完治したことから、この水「金星のめぐみ」を使うようになります。

この主人公の林ちひろが中学3年生になるまでの日々が綴ってあります。特に重大な事件があるわけでもなく日々の暮らしが綴られています。ちょっと変わったことと言ったら、姉が家を出て行ってしまったこと。そして、両親は毎日緑色のジャージの上下を着ていて、頭にタオルを置いて金星のめぐみを頭のタオルにかけていることくらいです。そのため、周りからは変な目で見られたり、変な宗教に入っているのかと疑われたりします。

確かにこの描写を想像するとかなり変な映像が浮かびますが、両親は真面目で他人に迷惑をかけているわけでもなく、娘を救ってくれた水にただ感謝して使用しているに過ぎません。でも、傍から見たらかなり変な人です(見た目だけで)。両親はただ水の力を信じてるだけで他人に迷惑をかけているわけでもないのに、この異質性が他人から見ると排除的要因になりうるんだなぁ。でも他人と同調することが良いことのわけでもありませんし、そういう意味で今まで気にしなかったというか気にしたことのなかった問題を目の前に突き付けられたような本でした。