表紙の模様がキレイだったので購入しました。主人公はとても繊細な神経を持ち合わせた人です。心の中の気持ちを丁寧に細かく表現しているので、人の感情とはこんなにも違うものなのかと思いました。例えば、”運が良い”という事項を私みたいにラッキーだと好意的に思う人もいれば、何故私が選ばれた(不幸な事項からは選ばれなかったのか)と思い、それに対して申し訳ないという気持ちでいっぱいになる人もいるのです。一般的には誉め言葉でも、相手はそれに傷ついたり・・・特に外見に表さない人は全く分かりません。

そんな繊細な神経を持ち合わせた主人公のアイはアメリカ人の父と日本人の母の裕福な家の養子でアイ自身はシリアからハイハイを始める前に両親の元にやって来ました。もちろん容姿が両親と異なることから幼い時に養子だということを知らされていてそれでも深い愛情で両親に育てられた子供でした。そんなアイには、ミナという親友がいて、彼女は日本の伝統的な家業がある家に生まれた裕福な家の子供でした。アイは血の繋がりに憧れ、ミナは血の繋がりを疎ましく思っている面もあります。

そんな二人が大人になり、ある事件が起こります。アイは血の繋がりを重んじてミナは血の繋がりをそう重んじていないからの決断が二人の意見に亀裂を生じます。アイはミナを許せないと思ってしまいます。そんな時、アイの夫のユウが言います「理解出来なくても、愛し合えうことは出来ると、僕は思う。」この本で一番印象に残った言葉です。読み終わった時、何かを乗り越えた気がしたそんな本でした。