銀河鉄道の父

銀河鉄道の夜は御存じ宮沢賢治氏の作品ですが、こちらは銀河鉄道の父というタイトル。何じゃこれは?直木賞?どういうこと?という感じで購入しました。この本はズバリ宮沢賢治の生まれた時から亡くなるまでの伝記に近い作品です。

宮沢賢治は質屋である金持ちの家の長男として生まれ、家族の期待も大きく成績も優秀で学校を卒業しました。ところが稼業には合わなく帳簿合わせなどは才能があるもののどうも大人相手の値決めなどの交渉事には向きません。自分でもそれが分かっていて家を飛び出し東京に行くもパッとしません。賢治の父は24才ですでに結婚もし賢治の父となっていて、それでいてバリバリ働いている大人でした。ところが賢治は24才になっても結婚もしていないし、ましては給料も僅かて自分が生きるのも苦しいくらい・・・実家から金銭が送られてきますが、それも受取拒否します。

賢治は5人兄弟姉妹で長女のトシは賢治にも劣らず優秀でかつ、賢治より自分の意見を持ち事業家としての素質もありそうです。でも女だからの言う理由で裁縫などを学ぶ女学校に行きます。トシは若くして病気で亡くなり、そして賢治も若くして病気で亡くなります。厳格な父は自分より先に長男と長女を失います。この時代というものがこの本を通じてよく分かりました。この本を読んだとき宮沢賢治はゴッホのようだなぁと思いました。