認知症の備え

今や65歳以上の人の5人に1人が認知症になると言われています。経営者が認知症になると、意思能力がなしと判断され、契約書に判が押せなくなります。たとえ押せたとしても意思能力がない者の契約になり契約無効となってしまう可能性があります。認知症になると法律行為が行えなくなるため自己資産の処分ができないばかりか、自社の議決権の行使もできなくなり事業承継に関する法律行為もできなくなります。

認知症を発症した場合でも家庭裁判所を通じて法定後見人を付けるなどの対策も取れますが、労力が必要以上にかかり、また、後見人は本人の財産を守る立場にあるため硬直的にならざるを得ないというのが現状です。ですから発症前に対策を講じることが重要です。

認知症にかかる前であれば「任意後見」を使う道もあります。任意後見は法定後見ほど制約が厳しくないからです。それとは別に「民事信託」を使う方法もあります。これは信頼できる誰かに財産を託す方法で信託先や信託内容は自由に選ぶことができます。いずれにせよ、備えあれば憂いなしですね。