フォルトゥナの瞳

フォルトゥナをご存じだろうか?ローマ神話の運命の女神のことです。

運命の女神の瞳という題のこの本は、主人公慎一郎がある日突然、手が透けている人を見て、それからも何人か手が透けていているどころか全身が透けている人を見て、それが何なのか気が付きませんでしたが、それがその人の死を意味するということを知ります。手だけ透けている人は何か月か先に亡くなる人。ほとんど透けている人は直後に亡くなる人だと気が付きます。自分にその能力が備わったのはその人を助けるためだと信じた慎一郎はある時、手の透けた女性を見つけその人を救おうと亡くなろうであろう日にデートに誘います。他愛のない話をして女性を帰します。その次の日、女性の手は透けていませんでした。

でも、その頃から体調の不具合が生じます。心臓が締め付けられるほど痛いのです。狭心症でした。自分と同じ能力を持つ男性に言われます。「他人の人生に関わるな。」そう。人を助ければ助けるほど、自分の命が短くなるのでした。

自分が運命を変えたばかりにその後に多くの人を犠牲にしてしまう事故を起こしたら自分ならどうするか?自分が助けたばかりに多くの人を事故死させてしまうことを知ったら貴方ならどうしますか?

慎一郎はどうしたか?友人も家族も居ない地味な人生だった慎一郎の決断はどのような行動になったのか?読めば読むほどはまっていく本でした。誰にも認められなくても自分の信念を貫く生き方が恋人にだけは伝わっていて良かったです。