青空と逃げる

表紙の絵につられて今年の夏休み課題図書としてこの本を読みました。「かがみの孤城」の作者の辻村深月氏の作品です。母親の早苗とその子供である小学生5年生の力が東京で起きたある事件がきっかけで、高知の四万十に逃げて、そこから兵庫県姫路市にある家島に渡り、その後大分県の別府温泉に行きやっとそこに住もうと思ったところで再び不都合が起き、今度は目的をもって仙台に行き、北海道の大空町に父親を訪ねに行き、家族が再会するというのが大筋な流れです。

北海道に行くまでほぼ母子家庭のように早苗と力は過ごしました。おっとりとした早苗も力を守らなきゃいけないという母性本能から逞しく強くなっていき、力も早苗が体調を崩した時は子供だから何もできないのではなく、何かをするという逞しさを覚えます。父が不在という状況になって、早苗と力は逞しく生命力がみなぎっていきます。ある事件のことは感想では敢えて書きませんが、3人が最後に再開することによって、また再び3人で東京で暮らすという予兆を残して終わります。

この本の素晴らしいところは様々な地方で本当にそこにいるかのような臨場感が出ている点です。この本に出てくる地方は家島以外は全て行ったことがありますのでイメージしやすく、ちょっとした小旅行をしているかのような本でした。また、地方地方の人との触れ合いなども方言も交えて描かれていてその場にいるような気にさせてくれる本でした。