フーガはユーガ

風我(ふうが)と優我(ゆうが)は双子の兄弟で、顔はそっくり。特徴といえば風我は体育が得意。優我は頭が良いという特徴があることくらい。彼らは子供の頃から実の父に虐待を受けていて、本当に死ぬのではないかと思うような殴られ方蹴られ方をしていました。実の母親はDVが怖くて見て見ぬふり。その後子供を置いて家を出ていきます。

ですから風我と優我はいつだって2人で協力して生きてきました。ある時突然二人が入れ替えるという不思議な現象が起こります。初めは何が何だか分かりませんでしたが、それは誕生日だけ2時間おきに入れ替わるという事実を突き止めます。そこで二人は一定のルールを決めて行動するのです。

その瞬間移動的なものを利用して、同じく虐待を受けていた女子を助けたり、過去の猟奇的殺人犯を見付けたりします。残虐な家庭で育っても愛や友情や正義感は育っていて、何とも言えない切ない気持ちにもなる小説ですが、逆に少年たちの逞しさも垣間見れる小説でもありました。