紙の月

今月はこの本を読みました。10月は月のイメージがあるからです。この本はある銀行の契約社員が銀行からお金を1億円横領するお話です。これを読み始めた時内容はしらず、読み進めているうちにあれ?これどこかで聞いたような話と思いました。このような事件も実際にあったし、こんな映画もあったような・・・ということで調べましたら、宮沢りえ氏が主演の「紙の月」の映画もやっていたようです。

宮沢りえ氏が主人公の垣本梨花を演じているとイメージして読み進めていると、物語がドンドン入ってきました。初めはちょっとした不正でした。たまたまデパートで化粧品を買った時に手持ちのお金がなくて顧客からの預り金を使ってしまってあとで充当すれば良いやという程度のもの。それが次第に在りもしない金融商品を作り顧客への預かり証や証書なども偽造するようになりました。

ちょっとした事が大きなことにそして大事件に発展することは多々ありますね。夫婦間でもそうでした。梨花の夫は俺が梨花を養っているんだという意識が強く、梨花もそれを感じていました。だからパートタイムで働き始めたのです。顧客からも評判の良い梨花は契約社員になり給料も2倍になりました。それで夫に時計のプレゼントをしますが、夫はこんな気軽にできる(つまりカジュアルな)時計が欲しかったといいますが、所詮女に自分以上の収入は稼げないという雰囲気を醸し出します。そのような事も加わって梨花は不正に手を染めていきます。

本を読んでみると細かい描写で少しずつ物語が進展していくのでほんの小さな出来事が次第に大きくなっていく(なってしまう)事が不自然ではなくむしろ自然に起こりうるのだと実感できます。ある意味怖い内容の本でした。