輸入業者の注意点(判決)

アメリカから自動車用品を輸入して、インターネットを媒体にして日本国内で販売していた人がいました。通常であれば、この売上って税務申告しますね。ところが、その方はアメリカ人と結婚し、アメリカに出国しアメリカに住んでいました。そうなると居住者(日本に住んで日本に税金を支払う人)でなくなります。非居住者とは外国に住んでいて外国で稼いでいる人です。非居住者は原則的に日本の所得税は支払いません(相続税は支払います)。しかし、原告は日本国内に倉庫を持ち、発送指示で日本にいる従業員が商品の発送・梱包を行っていました。

非居住者の所得税は恒久的施設に該当するか否かによって課税がされます。日本にある倉庫が恒久的施設に該当すれば所得税課税になるし、そうでなければ非課税となります。この方は出国前に住んでいた賃貸アパートと出国後に商品を保管するために借りた倉庫を持っています。日本にいる従業員が倉庫にある商品を出庫し、アパートの住所が不良品等の返品先でした。しかも販売先は全て日本国内でアメリカ人の顧客はいませんでした。

判決は、この賃貸アパートと倉庫は国内における恒久的施設に該当し、日本における所得税の課税対象になるというものでした。最近、外国に住めば日本の所得税がかからないと思っている方が増えていますが、そうではないよと知らしめる判決でした。
[東京地方裁判所平成24年(行ウ)第152号 平成27年5月28日判決]