医療関係税制動向

各省庁から来年度に向けての税制改正要望が出そろいました。その中で医療に関する要望で気になったものをお伝えいたします。

所得税(所得控除関係)
医薬品(要指導医薬品)を年間1万円以上購入した世帯は1年間の購入金額の総額から1万円を控除した金額を医療費控除(最大10万円)とすることができる。ただし、現行の医療費控除と選択適用になります。医療費控除は実際に医療にかかった人が年間に支払った医療費の金額に応じ医療費控除として所得控除できるのですが、病気にならないように自費で予防していた人には何のメリットもなかったのでその不平等さに対応するものと思われます。

所得税(所得控除関係)
人間ドッグやがん検診、予防接種や特定健診に係る費用の自己負担額が年間1万円以上かかった世帯に対して、最大10万円まで所得控除の対象とする。現行では検診で病気が発見され引き続き治療を受けた人には検診費も含めたところで医療費控除が使えましたが。何も見つからなかった人は、検診費を医療費控除することができませんでした。しかし、今回は病気が見つからなくても、常日頃から病気を意識し悪化する前に検診等を受けていた人に対するインセンティブであると思われます。

消費税ですが、医療費に係る消費税の課税のあり方の検討として「消費税率10%引上げに向けた適切な措置を講ずべく、個々の診療報酬項目に含まれる仕入れ税額相当分を見える化することなどにより実態の正確な把握を行いつつ、医療保険制度における手当のあり方の検討等とあわせて、医療関係者、保険者等の意見も踏まえ、総合的に検討し、結論を得る。」とあります。この文章を見る限り、消費税の損税問題はまだまだ解決しそうにありませんね。消費税10%増税時までに間に合うのでしょうか・・・