海外取引・海外資産にご用心

海外投資等をした富裕層に対する調査が急増しています。調査件数も前年比9%増加して、申告漏れ等の指摘は10%以上増加しました。申告漏れの所得も25%増加して、追徴税額は何と86%増加です。特に共通報告基準(CRS)を活用した調査が盛んになっています。CRSとは銀行口座や証券などの金融資産に関する情報を複数の国の間で共用する共通報告基準です。海外だからバレないだろうと言った甘い考えで追徴課税や重加算税が取られたりしています。現在コロナ禍で税務調査も減少していますが、1件当たりの追徴税額が高額になるため海外取引が狙われています。コロナが収まった後には更に加速しそうです。

国外にある財産を親族などに贈与して徴収を免れる方法も国際的な徴収逃れとして政府税制調査会は捉えていて、更に厳しく監視されることになります。明らかな脱税行為ではなく節税の範疇であるスキームも今後の改正などではリスクが伴っている感じです。ちなみに昨年、国税庁がCRSを通じて入手した日本人の海外資産に関する情報は189万件です。これは2018年に比べて2.6倍になっています。また、相続の際も相続人が知らない海外資産をCRSを通じて入手して追徴税を取られるケースも多くなっています。相続人が知らなかったケースも多々あるのですが、それでも何かしらの方法で伝えておかないと相続税の申告漏れで指摘されるならまだしも、その財産を知らぬまま海外で処分されてしまう可能性すらあるわけです。大変な世の中になってきました。税理士も説明義務が多くなって大変です。