帝国ホテルのコロナ戦略

コロナ禍において様々な業種が赤字に転落していますが、その中でも最も厳しい業界は旅行業です。飲食も厳しいと言われていますが、飲食は業界一助成金が充実しています。それに比べて旅行業は一般の赤字企業並みの助成金しかもらえないからです。天下の帝国ホテルも例外ではなく、コロナになってから予約数が1桁という日々もあり、従業員2500人のうち8割が自宅待機をする事態になっていました。

そこで社長は就任して初めて全社員にメールをしました。東日本大震災の時、上からの指示がないのに、多くの帰宅困難者をスタッフが受け入れていた姿を見ていたからです。みんなの意見が欲しい。どんなに些細なことでもいいからアイディアをメールしてほしいと・・・集まったメールは5700通ほどでそれを全て実行することにしました。貰ったメールを時間的にすぐできるものを短期・準備に時間がかかりそうなものを長期・その間を中期と分けて一つ一つ実行しました。

新聞でも有名になったのでご存じの方も多いと思いますが、1か月のアパートメント契約もその一つです。つまりホテルに1か月住んでみるというコンセプトです。帝国ホテルの様々なサービスを受けることができます。フィットネスセンター、プール、サウナも無料、ロビーでのコーヒー紅茶が無料、駐車場も無料、ビジネスラウンジやミーティングルームの使用も無料です。これが1番安いレギュラーフロアで定員1~2名で30日連泊36万円です。帝国ホテルの様々なサービスを受けられてこの価格だとやる人も多いかと思いましたが、実際すぐソールドアウトになっていました。ピンチをチャンスに変えた良い事例です。