アメリカン・スナイパー

話題の映画、アメリカン・スナイパーを観ました。何ともコメントが難しい映画です。観終わった時の感覚は、何とも虚しさが残るといったところです。私のアメリカン・スナイパーの感想が聞きたいという人が居たので敢えて書きますが、本当はあまり書きたくありません。その位脱力してしまう映画だからです。

主人公のクリス・カイルは狙撃手の名手です。イラク戦争の際、味方を守るため160名あまりの敵を狙撃したレジェンドです。クリスは闇雲にイラク兵を射撃するのではなく、あくまでも味方がやられそうな時、それを守るため射撃します。味方を守るためなら、時には女子供でも射撃します。1000m以上の距離でも2000m近くでも命中させることができます。

自分がいないと多くの味方の命が奪われるといった責任感からなのか4回も遠征します。その間、妻は子供を身ごもり、子供を2人産みます。夫はたまに帰っても心ここにあらずで、ドリルの音などでも戦争の体験を思い出し、点いていないテレビから戦争の光景が見えたりして、遠征が重なるたびに心が蝕まれてきます。

そうです。正常な人であれば誰も敵だからといって人を殺したくはないのです。クリスはかろうじて味方を守っているという気持ちだけで射撃せざるを得なかったのです。夫不在のまま一人で2人の子供を育てている妻は、戻ってきている時だけでも心もここに戻ってきてと訴えます。妻の気持ちも痛いほど分かります。でも、クリスがそうなってしまうのも、とても分かります。正常であればあるほど、心は戦争で病んでいくのです。

ラストのシーンは書きませんが、何とも虚しさが残ります。何でこの人がこんな目にと思います。もしかしたら、神様は正当な理由(仲間を守るという)があっても、人間を160人も射撃した人を許さないということかもしれないと思うと、切なくて虚しくて何ともやり切れない気持ちになる映画でした。