学問のすすめ

ご存知、福沢諭吉氏の「学問のすすめ」です。大昔に一度読んだはずですがすっかり忘れていました。この本を読むと当時の時代背景がとてもよく分かります。例えば、外国のものが輸入され出して、何でも西洋かぶれしだした時代であったとか、女性は男性よりも一歩引いた立場でいるのが尊いとされていた時代であったとか。そんなのが当たり前の時代であっても、福沢諭吉氏は外国かぶれして何でも外国のものが良くて日本製が劣っていると思い込むのは間違っていると唱え、男女の違いは力の強さだけでそれで男性の方が偉いというのはおかしいと言っています。間違っている事は間違っていると言える人でしたので、当時反発にもあったようですが、それでも自分が信じ思っていることを貫いています。

勿論この頃の常識は今の非常識になっている事柄も多く存在し、時代や思考というのは少しずつ変化していくものというのが実感できます。それでも周りの思考や慣習に疑問をもって自分の視点で正しく物事を判断するという事が、この頃においても現在においても大事なのだと感じました。古くても良いものはその時代に合ったやり方で残していくことも大事だと思いました。この写真に写っているブックカバーは古くからの京都での室町時代に生まれた襖に使用する紗紙を使ってブックカバーを制作しています。襖用の紙なので、とても丈夫で使い込むうちに手馴染みが良くなって独特の風合いが生まれるらしいです。ちょっと布っぽい紙でとても気に入っています。

税金についても書かれていて、人間社会は誰もがやりたい放題にやっていたら(例えば力の強い人が物を盗んだりしていたら)社会が成り立ちません。なのでルールを作り人民が平穏に生活できるように国にその業務を委託しています。その委託費が税金なのです。個人個人が各々そのような委託費を払うより国民全員がその委託費を分けて支払うのが税金であり、みんなで払うから各々で支払うより格安に済んでいるという文章を読んだ時は目からうろこでした。税理士として税金をこのような視点で見るというのが新鮮だったし、また妙に納得してしまいました。やはり、名を遺した人のいう事は為になります。正しい目を持って生きていきたいと強く感じた本でした。