台湾交流

東京税理士会豊島支部の法対策部は台湾の記帳士会(台湾の税理士)と長い間交流しています。毎年1回、お互いの国を訪問して交流を続けていたのですが、コロナ禍になりこの2年交流が途絶えていました。今年は初めてWEBでの交流を先日行いました。毎回お互いに質問したい事項を予め提示してその発表をするというのが主な流れです。今年、台湾から質問されたのはマネロン防止措置と国際的租税回避防止措置について。日本から質問したのはインボイス導入に当たってのメリットと苦労した点と成功の秘訣です。

台湾では税理士がマネロン防止規定にかなり関わっているのですが、日本の税理士はマネロンにあまりかかわりは有りません。国際的租税回避防止措置については、日本には①移転価格税制②過小資本税制③タックスヘイブン税制がある旨があることを説明しました。短い時間で通訳を通して行うので通常よりも多くの時間を要するでいかに短い文章で説明するかということで行われました。

インボイス導入については、台湾は1999年には電子インボイスが導入されていたので日本よりかなり早くからインボイス導入をしています。ただ、台湾は始めは紙のインボイスから始まり今は電子インボイスですが、紙のインボイスを用いる組織もまだあり電子インボイス普及率は58%です。説明は紙でのインボイスに比べ電子インボイスは、消費者にとっては、その場で当たりかどうかわかる(台湾はインボイスに宝くじのような制度を付加してます)事業者にとっては、紙での保存がなくなり紛失リスクがなくなり、かつ領収書代わりになる。社会にとっては、紙がいらなくなるのでコストが削減できるばかりではなく地球環境にも配慮できる。というのがメリットのようでした。

苦労した点は、消費者側からすればキャリア仕様の認識が足りずキャリア仕様に慣れていない。事業者側からは、企業の社内に電子インボイスシステムがないので別のシステムから通じて電子インボイスを発行するので経理担当者の負担とコストの増加がある。社内の経理担当者には受け入れにくいこと。政府側からは、国有企業がまだ電子インボイスを導入していないため見本にならない。などの苦労があるようです。成功の秘訣としては、2000年に電子インボイスの試行を開始しましたが、それまでは紙のインボイスだったため数々の試行が試されて、くじの懸賞金を多くしたり、ペーパーレス電子インボイスをクラウド型発票にしたり、広報や推薦を促進したりしています。消費者側の苦労、事業者側の苦労は日本でも同様の事が起こりそうです。インボイス導入には、まず便利でなくてはいけないと思います。インボイス導入により経理側に負担があるようでは導入は進まないと個人的に思います。さて、日本のインボイスはどうなるのでしょうか?