雑所得改正1

雑所得の改正が行われそうです。「事業所得」と「業務に係る雑所得」は違いが不明瞭だからです。でも税務上の差異ははっきりしていて、事業所得の場合、損益通算ができます。つまり、給与所得がある人が事業所得もあって、事業所得が赤字の場合、給与所得から事業所得の赤字を控除して税金の計算ができます。その他事業所得で青色申告の場合、更に様々な税金特典があります。業務に係る雑所得は令和2年の確定申告から雑所得の区分に新たに加えられた区分で令和元年までの確定申告書には雑所得の区分は①公的年金等と②その他しかありませんでした。それが令和2年から雑所得の区分は①公的年金等②業務③その他になりました。

税法上取扱にかなりの差異がある事業所得と業務に係る雑所得ですが、同じような所得でも事業所得とすれば税務上かなり特になり、業務に係る雑所得とすれば赤字でも損益通算できないという大きな違いがあります。規模も大きくない副業を事業所得として申告して給与所得として損益通算するという事例も多くなってきたようで、改正が行われそうです。改正案の内容は下記の通り→雑所得改正これで問題になるのは、フリマアプリでのプレミアム販売、フリマアプリを使った反復同製品の販売や、給与所得がある人の副業のような事業所得ではないでしょうか。

まず、フリマアプリでの販売は通常家庭にあった不用品の売却が主なものなので購入価格よりかなり低い価格で売買されています。これは問題ないかと思います。ところが買った価格よりもかなり高い価格での販売(いわゆるプレミアム商品)の売買は要注意です。生活に通常必要な資産の譲渡は非課税ですが、その非課税から除外されそうです。また、フリマアプリですが、実際には決まったものをどこからか仕入れて複数販売している事例もあります。これは元々課税対象ですが、実際には申告をしていない人も多いのではないでしょうか。

次に、会社員が副業するのも多くなってきました。節税対策として副業分を事業所得として申告し赤字にして本業の給与所得と損益通算するというのが危険になるということです。ただ、ここでの改正で危険だと思うのが300万円判定です。収入が300万円ないと反証のない限り業務にかかる雑所得と取り扱って差し支えないとあります。そこで300万円以上でないから雑所得にしなければならないと考えるの早計です。年間300万円なくてもそれが副業でなく細々とやっている事業なら事業所得として扱えますし、例え給与所得があったとしても退職後の事業のために会社員時代から起業するのもあり得るからです。ですから単に300万円判定とするのではなく、実情を加味して事業所得として申告することもできるのでその辺は要注意です。今回、改正案について意見を言える機会(パブリックコメント募集)が与えられたので、金額判定(300万円基準)で単に判定するのは断固として反対!の意思を伝えました。