公開研究討論会

公開研(公開研究討論会)とは、全国15の税理士会を7グループに分けて税理士の日頃の研究結果の発表と質疑応答を行う研究討論会で毎年秋に行われる行事です。7グループとは、①東京会、②東海会・名古屋会、③九州北部会・南九州会・沖縄会、④東京地方会・関東信越会・千葉県会、⑤北陸会・近畿会、⑥北海道会・東北会、⑦四国会・中国会、のグループです。東京会だけ人数が多いので東京税理士会だけで1グループですが、他は他の会と連携して行います。東京税理士会連合会と共同で行われます。7年に1度の輪番制で、今年は10月7日に行われましたが、東京税理士会が担当でした。テーマは、第1部が「税制の歪みを糺(ただ)す」で第2部が「人生100年時代における資産形成と税制のあり方」です。

東京税理士会連合会と共同して行い、東京税理士会では調査研究部の部員の一部が中心となり発表しました。6時間にも及ぶ大討論会で聞いている方もちょっと疲れますが、なかなかためになる発表でした。日本は他の先進国に比べてデジタル化が遅れており、国も早急にデジタル化を目指しています。デジタルインボイスの話、EUを中心に30ヵ国が利用するPeppol(ぺポル)の話、EDIシステムの話、全て新鮮で刺激的な話でした。EDI(電子データ交換)とは企業間取引で発生する契約書や請求書などの帳票をインターネットなどを用いて電子データとしてやり取りするシステムですが、そんな話を聞いているだけで未来の会計や企業間取引がイメージできました。

また、最近ではシェアリングエコノミーの取引が増えており、それに伴う税務の問題なども多発しています。それを税理士としてどう考えていくか。どう不正のない明確な取引とするかなどが問題として提起され、なかなか考え深いテーマもありました。問題点を挙げるだけでなく、それに向けた解決方法(例えばプラットフォーマーに源泉徴収義務を課す)なども提案していて色々考えさせられました。GEEO(不動産販売価格予測サイト)などの活用などで国が持っている情報と個人レベルで持っている情報の非対称性を是正する案なども挙げられて、とても有意義な討論会でした。