赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う

シュールな童話の物語という感じです。まさにこの本の絵のイメージで面白かったです。主人公は赤ずきんで頭脳明晰、バラバラになったピノキオの体を取り戻すためにピノキオと旅に出かけます。そこで様々な殺人事件を目撃して赤ずきんが解決する話です。大きく4つの物語がありますが、登場人物がどれも童話の人物で名探偵コナン張りの推理で犯人を導き出します。

魔女、毒リンゴ、白雪姫、7人の小人、ハーメルンの笛吹き男、、3匹のこぶた、と童話の中の主役たちが沢山出てきて、童話のおもちゃ箱のようなお話に少し童心にかえってワクワクします。といっても殺人事件なので童話の中の良い人がこの小説の中で良い人でない場合もあり、独創性も際立ちます。そこにシュールさを感じます。

最後まで色々な色のおもちゃ箱をひっくり返したような物語でしたが、ピノキオのバラバラの体が一つになり、ピノキオのいつか人間の男の子になりたいという願いが叶うその瞬間、人間になればいつか死んでしまう。永遠の命がなくなってしまうがそれでもいいのか?ピノキオは言います。「永遠の命なんて人形と同じじゃないか。」その言葉にグッときてやられてしまった私でした。人間は命あるから輝ける尊いものなのかもしれません。