あなたの知らない脳

結構分量の多い本だったので読むのに何日もかかりました。でも内容は目から鱗のものでした。私たちが意識して考えたりしている脳の働きは氷山の一角で脳の機能は、ほぼ無意識下で行われているようです。そういえばと思うことがあります。クイズ番組で画像の一部が変化してどの部分が変化したのかという問題が出たりします。ほとんどの人が気が付きません。それは脳がジッと見つめているところ以外は脳内で修正するからです。ですからこれは一か八かでどこか一点を見つめて変わったか否かを見るしかないのです。全体的にぼーっと見ていると勝手に脳が修正して、全く分からないという事態になります。

脳に損傷を与えると、場を読まないで、言ってはいけないような事もズケズケ言ったりします。これも脳の一部がそれを言うと社会生活的にまずいと理解するから言わないという選択をするのであって、その機能がなくなると本来本人さえも意識していなかった無意識下の発言が出たりします。例えば人種差別的な思想を持つ人や危険な思考を持つ人も対人的にはそれを隠したり、もしくは理性がそれを否定したりします。でも脳の一部に損傷を与えたりすると無意識下の意識が表面に出たりします。よくお酒を飲むと豹変する人がいるという事を聞きますが、正確には、お酒を飲むと変わるのではなく、お酒を飲むと無意識下の本人の性質が露呈するというのが正しいようです。もちろんお酒を飲んでも無意識下の自分が出ない人(理性が強い人)もいます。

何か考え事をしているとそのことに集中しているのにいつの間にか着替えているとかご飯を食べ終わっているとか目的の場所まで歩いたとかいう経験も誰もがしているかと思います。何もかも意識の上で行動すると人間の脳はキャパオーバーになるので無意識下の脳が活躍しているのです。そして最も重要な事だけ、これどうしますか?という感じで意識下にあげて判断を仰ぐらしいです。脳の不思議が分かる本でした。秋の夜長に最適な本です。