信託の活用

信託ってご存知ですか?信託とは文字通り、財産などを信じて託す制度です。

信託の典型的な登場人物は3人です。それは委託者(財産の運用を依頼する人)・受託者(依頼を受ける人)・受益者(財産から生じる収益を受ける人)です。この三者は別々の人あるいは法人でも構いませんが、委託者=受託者や、委託者=受益者ということも可能です。財産の所有権は信託という形で受託者に移転しますが、受託者は所有権があっても勝手に財産を処分することはできません。受益者のために管理・運用・処分しなければいけません。

例えば、資産家の高齢者Aさんが居たとします。Aさんは高齢でありもしかして痴呆になるかもしれない。その時に親不孝の子供に勝手に財産を処分されてしまうかもしれないという不安があります。それに備えて自らが委託者=受益者である信託を設定します。この場合の受託者は信頼できる第三者で人でも構いませんが信託会社等でも構いません。生前は自分が受益者で死後は受益者を自分で決めておきます。

また、特別障害者やひきこもりの子などを有する場合、自分の死後にこの子がちゃんと生活できるように、受益者だけをその子にすることも可能です。財産を直接相続しても心配な場合、運用は受託者に任せて、収益だけ受け取れるので安心です。

受益者連続信託というのも有用です。例えば、甲さんの前妻の乙さんの間には3人の子供がいましたが、乙さんに親権を渡し丙さんと結婚したとします。丙さんとの間には子供が居ません。甲さんが亡くなったら後妻の丙さんに財産がいくのはいいとして、すぐに丙さんが亡くなったら、丙さんの親や兄弟に財産が渡ってしまいます。そのような時に受益者(丙)が亡くなったら、甲の財産は乙の子供にいくという事が信託では可能となります。

ただし、これは信託を設定した自分(甲)の財産に限り、30年間という期限付きです。信託を設定してから30年経って最初の相続が起こったときまでが期限となります。

現在子供のいない夫婦は増加しています。そのような人ほど信託は有効ではないでしょうか。