春を背負って

主人公の亨(松山ケンイチ)は都会の投資銀行で働くトレーダーです。毎日何億もの金額を動かしています。ある時山小屋を経営している父が登山客を助けようとして亡くなります。亨はお葬式で実家に戻り、父がやっていた山小屋まで登ります。そこで父の後を継ぎ山小屋を営もうと思うのです。母は反対します。山小屋をやるというのはそんなに甘いものじゃないと・・・それでも亨はやるといって会社を辞めてしまいます。

山小屋経営は1回40キロから60キロの食料品を担いで山を登ります。都会の生活ですっかり軟弱になってしまった亨はそれすらできません。ゴロさん(豊川悦司)はそんな亨とは逆に荷物を楽々背負い、亨の荷物まで持って登って行きます。

ゴロさんは亡くなった亨の父が枕元に立って、亨が一人前になるまで山小屋を手伝ってくれと言われたと山小屋経営を手伝います。亨の父に山で遭難しかけたときに助けられたという愛ちゃん(蒼井優)が運ばれた食材を料理して山小屋に泊まった人たちに提供します。そうやって3人で何とか山小屋をやっていきます。

この映画は人間も自然の中に身を置いている動物の一種なのだと実感できます。都会で生活していると男も女もありませんが、もしくはできるだけ性差をなくそうとしていますが、自然の中ではやはり男は男、女は女なのです。男性じゃなくちゃ50キロもある荷物を背負って山を登ることなんてできないだろうし、女性であるから山小屋で男性は気が付かない気配りができるのです。

この映画を見て、人は自然の中で生かされ、そして生きているんだなぁと実感しました。ゴロさんが途中で言った「人は大人になるほどいろんなものを背負って生きなきゃいけない。地図も羅針盤もない状態で、それでも選択して生きなくちゃいけないんだ」というセリフが特に印象的でした。