6月から始まる給与所得者の定額減税については2024年1月27日のブログhttps://hy-tax.com/blog/?p=6407と2024年3月27日のブログhttps://hy-tax.com/blog/?p=6526でお話ししてありますが、いよいよ差し迫ってきて、顧問先様から質問が増える状態になっています。最近多いのが扶養人数の把握です。税務とも社会保険とも違いますと言うと混乱します。例えば税務では児童手当をもらっている16歳未満の子供などは税務上扶養控除は受けられません。でも今回の定額減税は受けられます。税務上認められている外国人の扶養も居住者でないならこの制度では対象外になります。また、社会保険では籍を入れていない内縁の配偶者なども社会保険の扶養になれますが、今回の定額減税では扶養にはなれません。
また、納税者本人が高額所得者(給与収入2000万円以上合計所得金額では1805万円超)の場合、定額減税の対象外になりますが、その同一生計の配偶者や子供などはたとえ所得が48万円以下であっても定額減税の対象になりません。対象とならないのに月の定額減税はやります。そして確定申告の時にその分を返します。ある顧問先から月の給与で減税してその分、確定申告で返すのは気分悪いから、役員である確定申告をする自分たちは毎月の定額減税をやらなくてよい?と聞かれます。気持ちは分からなくもありません。
ですからこう答えています。「法律では所得にかかわらず定額減税をやる決まりになっていますが、やらなかったとしても源泉所得税を多く払っているので罰則にはならないと思います。自己責任でそうするなら仕方ありません。でも従業員の分はちゃんとやってください。」そりゃそうですよね。元々2000万円超えて定額減税の対象にならないのに、奥様と子供が3人いたら、所得税だけでも3万円×5=15万円減額されます。でも確定申告の時、返してねってそりゃ嫌だわ。誰でも嫌だわ。税理士のせいにされそうでそれも嫌だわ。まぁ自己責任でお願いします。
その後ある情報を得ました。衆院財務金融委員会で、企業が6月以降の毎月の給与から引く手間を省くため年末調整で一度に差し引いた場合、法律違反になるのかどうかというのを質問したそうです。回答は、6月から減税を反映しない場合、税引き後の給与が本来支払われる額より少なるなるため労基法違反になる可能性があり、悪質なケースは30万円以下の罰金が科されることになるということでした。面倒でも従業員の分はやらなきゃ駄目ですよ。顧問先と会合する度に経理担当からは定額減税制度について不満が漏れています。