この小説は500ページ近くもあるので夏休み課題図書にしましたが、夏休みだけでは読み終わらす、やっと読み終えたので感想を書きます。18歳と8歳の姉妹の女の子が二人で生きていくと決め、住み込みで働ける仕事をしながら周りの人たちとの助けも得ながらたくましく生きていく姿が描かれています。
18歳でありながら妹の律を養育しようと頑張るお裁縫が上手な姉の理佐、姉に迷惑をかけないようにわがままも言わない本が好きな妹の律。二人の生活は貧乏でしたが、周りの優しい大人に囲まれすくすくと育っていきます。そして水車小屋のしゃべる鳥(ヨウム)のネネがその姉妹にとっても大事な存在になります。ネネは鳥ですが、しゃべれるし、温かいし賢いので、周りの人は誰もが虜になります。そして仕事を持っています。水車が石臼でそば粉を引くのを管理しているのです。石臼の空引きは石に良くないのでネネはちゃんと見張っていて空になると「からっぽ」と教えます。それを聞いて新たなそば粉をいれて、引き終わったそば粉は蕎麦屋さんに持っていくのです。その仕事を何十年もしています。
少しずつ時は流れ姉妹二人とも大人になり、大人になって自分たちはどんなに周りの大人に助けられてきたのだろうと感謝して今度は助ける側にまわります。人はそうやって助け合って生きていくのだととても暖かい気持ちになります。40年間の歴史を描いているので途中、画家でネネの世話をしているおばあちゃんの杉子さん、理佐の最初の就職先の蕎麦屋の店主守さんなども亡くなっていきます。みんなでお葬式をします。この時、なんとなく最後にネネも亡くなるのかなと思いましたが、ネネは最後まで元気でそして賢い鳥でした。日常の何気ないことを描いた物語ですが、人は誰も一人で生きてはいけないという事を実感でき、助け合いながら生きていくことが充実した人生というのではないだろうか。と感じた本でした。暖かい気持ちに包まれます。最後の最後での律の笑顔が脳裏に焼き付きます。