自分とか、ないから。教養としての東洋哲学

この本は電車中のポスター広告で見て、面白そうだなと思ったので読んでみました。荘子、龍樹、達磨、ブッタ、親鸞、老子、空海の7人の哲学論を超訳した本です。その道の専門家が見たら怒られそうなくらい超訳していますが、超訳しているからこそ、分かりやすいです。似ているけどちょっと違う事を言っているとか、空とか無とか道(タオ)とか出てきてなんとなく知っているけど、違いが分からないという人々に分かりやすく教えてくれます。7人の教えを聞いていると似ているけど、ちょっと違う事が出てきます、そうかと思うと全く逆なことを言ったりして、全部聞いた後は、何だか何でも良いのではないかと気が軽くなります。

面白いのは、哲学論の超訳だけではなく、7人の人物像も詳しく解説していて、それがまた面白かったです。良い家柄の王子だったのに家出して出家してしまったとか、一度も働いたことがないニートだとか、天才だけど見た目が凡人だとか言いたい放題ですが、これらの人の教え(哲学)に注目した本は沢山ありますが、その方と哲学を両面から見ているので、超訳(略しすぎ)でもとても印象が強く残ります。そしてそれらの人も意外と普通(むしろ社会不適合者)で、欠点もあり、とても身近な人にも思えます。まぁ、空海だけは別格でしたが・・・

これを読んでいる最中に私が尊敬している空海もダメ男だったらどうしようとちょっと怖かったですが、空海だけは期待を裏切らず、斬新でそして秀でていてますます尊敬してしまいました。あまり違いは分からないけど大雑把に東洋哲学を学びたいと思っている方に最適な本だと思います。詳しい人は怒るかもしれないので読まない方が良いかと思います。でも読み終わった後には完璧な人間なんていないし、哲学にも完璧はないのだと気持ちが軽くなる。そんな本でした。