1920年代、世界で初めて女性が英仏海峡を泳いで横断したという実話を基に作成した映画です。この頃の女性の身分は低く、水着を着て泳ぐことさえ、はしたない事とされていました。女性は出しゃばらず、おしとやかに、水泳なんてもってのほかという時代です。主人公のトゥルーディ・イーダリーは子供の頃、麻疹になり生死を彷徨います。その時近所の港で船が沈没して多くの人が亡くなります。そのほとんどが女性でした。なぜあんなに港から近いのに泳がなかったのか?泳がなかったのではなく、泳げなかったのです。女性は水泳なんかやるものではないと考えられていた時代です。母は自身の双子の姉妹も溺れて亡くなっていたので、娘たちには水泳をやらせようと決意します。夫は大反対。娘たちは海で泳ぎます。娘たちに才能があると確信した母は本格的に習わせようと夫に相談しますが、夫は女にそんなことをやらせるのは反対だと言います。母は自分でお金を稼ぎ娘たちに水泳を習わせます。
そんな母と、一緒に水泳をやっていた姉、そして女性コーチに支えられながらトゥルーディは頭角を現してきます。そして男性も何人もが命を落としている英仏海峡横断を達成する映画です。この頃の女性の身分の低さ、そしてそれらに負けないで戦う女性たち。男性の足の引っ張り。それでもトゥルーディを応援してくれる男性もいて、胸が熱くなります。赤クラゲの集団に合い体中傷だらけになり、極寒の寒い海の中で泳ぎ続ける彼女。最後の10キロで潮の流れが乱れ夜のためどちらが岸なのかさえ分からなくなった時は心臓がドキドキしました。それでも多くの人たちがラジオを聞き、現地にかけつけ、火を焚き、方向を示して応援する様子が映し出されます。その頃の時代背景や、それにも負けず、努力する彼女に感動する映画でした。これディズニー映画なのですよ。意外でした。「皆が望んでいるのはわきまえた女」という社会でどう女性が戦ってきたのかが分かる映画でした。イランで女性のサッカー観戦が禁止されている中で男性に変身し、観戦する女性もそのように戦っているのを思い出しました。