人魚が逃げた

この本は銀座を舞台に、1章1章主人公が変わります。はじめ短編小説だと思って読み進めていましたが、実は目線(主人公)が変わる事で物語が違って見えるだけで最後の方になるとこれがそれぞれくっついてきます。全貌が明らかになってくるやつです。

あの時あの人が言ったこのセリフは自分側からみたらこう感じてしまったが言った方からすればこういう意味だったというような事が度々書かれます。人は同じ空間を過ごし同じ体験をしてもそれぞれが思う事は別で不思議な世界にいざなわれます。

自分が思っていたマイナスイメージが相手からしたらそういう意味ではなかったというケースが度々出てきて、ほっとします。最後にはそれぞれの登場人物がハッピーエンドになる予感で終わります。余韻が残り後味が良い小説でした。