令和7年から超富裕層への課税が強化されました。いわゆるミニマムタックス制度の導入です。所得税は支払い能力に応じて5%から45%までの7段階課税がされています。ただ、株式や不動産などの譲渡に係る所得税はこれとは分離して、一定税率で課税されています。例えば上場株の譲渡は所得税15%です(その他復興所得税・住民税あり)。このように給与や事業所得などから分離される税金を分離課税と言いますが、合計所得金額が1億円を超える高所得者層は、所得の種類のうち分離課税となる所得が全体の6割強を占めるという統計結果が出ています。通常、給与や事業所得などで1億円を超えると45%の課税が行われますが、株の譲渡や配当などの所得で1億円を超えても15%しか課税されない。つまり所得税の負担率が下がる結果が公表されています。これが1億円の壁です。
このような状況を踏まえ課税の公平の観点からミニマムタックス制度が導入されました。内容は所得が30億円を超える超富裕層を対象に、次の②の金額が①の金額を上回る場合に差額分を納税するというものです。
①通常の所得税額
②(合計所得金額-33億円)×22.5%
株式の配当などの申告不要制度を適用した所得も含めて計算しますが、預貯金の利子等などの源泉分離課税の対象となる所得やスタートアップ債投資やNISA関連の非課税所得は対象外となります。一般的には所得が30億円を超えると対象となる可能性は高まりますが、上場株式の譲渡のみの場合だと10億円程度で対象になるようです。いずれにせよ、1億円なら当事務所の顧問先様でももしかしたらいるかもしれませんが、所得30億円以上ではたぶんうちの顧問先にはいませんね。