医療法人が麻酔医に支払う報酬

麻酔医が複数の病院から麻酔手術等を施行して得た収入を確定申告で事業所得として申告したところ、それは給与所得であると否認され、裁判で争われました。

事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいうと解しています。

そして、給与所得とは、雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労働の対価として使用者から受ける給付をいうと解しています。

判決は給与所得となりました。理由としては、
①術例数が1例であっても2例であっても定額の報酬が支払われ、3例以上に増えたり時間が2時間を超過した場合は割増報酬が支払われるものの、手術等の難易度や用いる薬剤等の価格などに応じて変動する仕組みになっていない。
②麻酔薬剤については病院が調達したうえで使用した薬剤代金を病院が患者や保険機関から受領していて、麻酔医は支払っていない。
③手術時に過誤があり損害が生じた場合には、原則として病院がその責任を負っている
④麻酔医が病院に行くための交通費も病院が負担している

このようなことをまとめると、麻酔医が病院から受けた報酬は、自己の計算と危険において独立して営まれる業務から生ずる所得であるということはできず、麻酔医は病院の指示命令に基づいて、病院による空間的、時間的拘束を受けて行った業務ないし労務提供の対価として報酬を受けたものであるから給与所得にあたるとされました。
(東葉地方裁判所平成23年(行ウ)第127号平成24年9月21日判決)




今年初めての花火、足立花火大会です。下側の花火の固まりがなんとなくハートに見えませんか?この日はとても涼しくて寒いくらいでした。