怒り

タイトル名が怖かったので躊躇したのですが、出演している俳優が、渡辺謙、宮崎あおい、松山ケンイチ、妻夫木聡、綾野剛、森山未來、広瀬すずと主演級の俳優を山ほどつかっている点、音楽も坂本龍一だったので、これは観なきゃ損でしょ。と思い観に行きました。

ある住宅街で夫婦が何者かに殺害されます。犯人は1年間どこかに逃亡しています。そんな出だしで映画は始まります。東京、沖縄、千葉で素性が分からなく、犯人に少し似た風貌の男性が現れます。その3人はいずれも犯人に似ています。この3空間がお互い結びつく事はないのですが、風景のどこかがそこに結びつく感じで場面は変わっていきます。出演者が全員有名人なので、場面が突然変わっても頭が混乱することなく、見ることができます。見事な演出です。

怒りって多分人間が持っている感情で最も強く激しいものだと思うのですが、この映画を観て、同じ怒りでも種類は色々あるのだと感じました。怒るべき当事者ではなく全く関係のない第3者に向けられてしまう怒り。周りの環境に怒りながらもそれを言えない自分への怒り。相手を信じてあげられなかった自分への怒り。怒りを爆発させると自分が苦しむから実際には怒らず自分の中に閉じ込めた怒り。愛する人を傷つけられた怒り。自分が何もできないことへの怒り。

一言で怒りといっても色々な種類があるのですね。観てから何日か経っていますが、なんかいつまでも引きずる奥の深い映画でした。