2024公開研

毎年行われている全国の税理士が集まって研修をする公開研(公開研究討論会)が10月18日福岡のホテルオークラで行われました。全国から税理士が900人くらい参加します。今回のテーマは「税はいかにあるべきか~格差から税の正義を考える~」「税務コンプライアンスを考える~納税者のためにできること~」「消費税制の未来へ提言~EUのVAT、ニュージーランドのGST、消費税の比較を通じて~」の3テーマでした。1つ目と2つ目についてはどちらかというと倫理的で哲学的な研究テーマでした。

3つ目のテーマについては、EUのVAT(日本でいう消費税)やニュージーランドのGST(日本でいう消費税)を紹介し、日本の消費税と比較して論じていました。VATは世界に先駆けて1954年に導入されました。ニュージーランドのGSTは日本と同時期に導入されましたが、単一税率で課税ベースが広く非課税項目が少ない日本よりシンプルです。日本は8%と10%で複数税率ですし、非課税項目も多い、簡易課税はあるものの内容は全然簡易ではなく難解、原則課税はもっと複雑と極めて難解な税金になっています。シンプルが一番ですが、日本人特有の機密さが裏目に出ているような気がします。全体を通じて税金はどうあるべきかを考えさせられました。

FORTH(フォース)

厚生労働省が面白いHPを立ち上げました。それがこちらです。https://www.forth.go.jp/news/20190917.html

最近やっと海外に行く方が増えてきたような気がします。コロナ禍から見えないウィルスに対する関心も深まってきています。そこで厚生労働省が海外に行かれる方に向けてこんなホームページを立ち上げたのです。これを見るとどの地域でどんな病気がはやっているのかが分かります。予防接種がある場合はその接種も促します。ホームページの構成も見やすく有意義な情報です。海外に行かれる方はこちらで一度チェックして出かけることをお勧めします。

デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか

大共感の本でした。日本は結婚しても家事・育児の大半は女性が担います。でもデンマークでは男性も女性も正社員で働くのが当たり前で、家事や育児はほぼ半々で行います。どちらかに荷重が集中することはありません。ですから夫婦は運命共同体で協力体制が出来上がります。男性も積極的に家事・育児に参加するし、むしろ参加したいとさえ思っています。女性も正社員で働くのが当たり前で、男性に養ってもらおうなどという考えは微塵もありません。女性も仕事にやりがいを見出しており家庭も仕事も大事です。

ジェンダー不平等指数(DII)という数値があり、値は0(女性と男性が完全に平等な状態)~1(全ての側面において、男女の一方が他方より不利な状態:ほとんど女性が不利)で表しますが、デンマークは0.009で世界一不平等でない国です。ちなみに日本は0.078でまだまだデンマークの足元にも及びません。デンマークでは15時から16時くらいになると帰る準備をして帰ります。日本のように上司が帰らないから帰りづらいということもありません。それが当たり前なのです。なんのためにそんなに早く帰るのか。それは家族との時間を大事にしているからです。早く帰り家族全員で一緒にご飯を食べて、もし、仕事が終わっていなかったら子供が寝てから仕事をします。

みんな仕事が大好きで、でも家庭の方がもっと大事という感じです。仕事ではほとんどの人が会議に積極的に参加します。上下関係はあまり関係ありません。仕事上の反対意見もありますが、それは仕事の内容であって人格を否定しているわけではないので、反対意見でもお互いを尊重します。素晴らしいの一言でした。日本もそんな風になれば大人になっても楽しいし、結婚もしたいし、子供も育てたいと思う人が増えるような気がします。この本での働き方、そしてデンマーク人の考え方は私の理想とするものでした。だから私は日本では働きづらいと思っているのだと思います。だからと言って国家資格なのでこの国で仕事をするしかないのですが・・・価値観というものを見直すきっかけになる本です。

傲慢と善良

辻村深月氏の小説を映画化したものです。小説は読んでいませんが、細部の細かいこころの感じ方や揺れ動くこころなど見事に表現していました。誰もが結婚適齢期にここに出てくる誰かと似た感情を抱くのではないでしょうか?本の題名である「傲慢と善良」は誰のこころにも両方存在するもので、これにはとても共感しました。人は傲慢であり、善良でもある。とても意を得た表現です。

疲れた時にぼーっと見る映画ではなく、ぼーっと見ていると繊細なこころを見逃し、何だかあまり面白くない映画だと感じるかもしれません。繊細なこころの動きを逃さないように見るとこの映画の良さが伝わってきます。人が持っている繊細な感情を理解できれば面白い映画だと思います。特に誰のこころにもある傲慢さと善良さを考えるのには問題提起という意味でとても良い映画でした。

伝家の宝刀敗れる

税務には税理士を不安にさせる総則6項という規定があります。これは、通常のルールでは実態とかけ離れた評価になる場合などに適用される特別規定で、タワーマンション事件をきっかけに国税当局がこの総則6項を使い、納税者の評価を否認するという、いわゆる「伝家の宝刀」を使って無理やり課税するという恐ろしい規定です。タワーマンション事件は仕方ないとしても、今回の判決は非上場株の相続の評価を巡ったものです。税理士はもちろん非上場株式の通常の評価を適用して相続税の申告をしました。ところがS税務署はこの評価は著しく低いとして総則6項を使い追加の相続税を4億円課してきたのです。

もうやりたい放題です。相続税基本通達通りの評価をして1株8,186円で評価して申告しましたが、国税は専門会社に価格算定をして1株80,373円としたのです。10倍近い額です。これは国税側がディスカウントキャッシュフロー法で評価したもので、通常M&Aなどに使われる評価方法です。M&Aと相続では全然違うので、これをやられたら税理士側としてはひとたまりもありません。もちろん納税者側は控訴して今回、国税側の敗訴確定となりました。

相続税評価通達というのがあるのに、それに則って評価したら否認されるとなれば税理士はどうしたら良いのでしょうか?そもそも時価というのは曖昧で不確実性があるからこそ、この評価基準があり、相対的に相続税評価通達は一般の時価より2割~3割安くなっています。それが時価が半分以下だからと言って伝家の宝刀を使いまくったら国としてどうなのだろう?と思っていました。今回、裁判官が適切な判定をしてくれて良かったです。こんなことをしょっちゅうやられていたら税理士としては相続税の申告は受けることさえリスクがあると感じてしまいます。とりあえずほっとした判決でした。

MBA取得者

MBAとは日本語では、経営学修士や経営管理修士と呼ばれています。今は通常の大学院だけではなく、社会人になってから入学する専門職大学院(授業も平日の夜や土日に行います)も増えていることから、MBAホルダーも多くなってきたと思います。専門職大学院は、研究者教授だけではなく、専門分野に精通した実務家教授も一定数在籍させ、理論と実務を架橋する教育というところに特徴があります。

明治大学は大学卒業してまだ社会人を経験したことのない学生も受け入れていましたが、中には社会人経験2年以上が条件としている大学院もあります。学ぶことは、経営戦略、マネジメント、マーケディング、財務会計、ロジカルシンキング、問題解決ケーススタディなどです。どれもビジネスに役に立つことばかりなので、どちらかというと働いたことのある人の方が、実際の現場と比べたりして得るものは大きいと思います。

子供が減っているので大学側も大人の学びなおしに着目した大学院が増えています。学ぶことって楽しいですよね。特に自分が知らない世界を垣間見るのは快感さえ覚えます。日頃仕事をしているとどうしても、似ているような仕事をしている人としか付き合いませんが、大学院では多種多様の人が集まってきますのでその点も刺激的です。今は学ぶ側ではなく教える側になりましたが、学ぶ側の気持ちも分かるので本当に応援したくなります。

自分とか、ないから。教養としての東洋哲学

この本は電車中のポスター広告で見て、面白そうだなと思ったので読んでみました。荘子、龍樹、達磨、ブッタ、親鸞、老子、空海の7人の哲学論を超訳した本です。その道の専門家が見たら怒られそうなくらい超訳していますが、超訳しているからこそ、分かりやすいです。似ているけどちょっと違う事を言っているとか、空とか無とか道(タオ)とか出てきてなんとなく知っているけど、違いが分からないという人々に分かりやすく教えてくれます。7人の教えを聞いていると似ているけど、ちょっと違う事が出てきます、そうかと思うと全く逆なことを言ったりして、全部聞いた後は、何だか何でも良いのではないかと気が軽くなります。

面白いのは、哲学論の超訳だけではなく、7人の人物像も詳しく解説していて、それがまた面白かったです。良い家柄の王子だったのに家出して出家してしまったとか、一度も働いたことがないニートだとか、天才だけど見た目が凡人だとか言いたい放題ですが、これらの人の教え(哲学)に注目した本は沢山ありますが、その方と哲学を両面から見ているので、超訳(略しすぎ)でもとても印象が強く残ります。そしてそれらの人も意外と普通(むしろ社会不適合者)で、欠点もあり、とても身近な人にも思えます。まぁ、空海だけは別格でしたが・・・

これを読んでいる最中に私が尊敬している空海もダメ男だったらどうしようとちょっと怖かったですが、空海だけは期待を裏切らず、斬新でそして秀でていてますます尊敬してしまいました。あまり違いは分からないけど大雑把に東洋哲学を学びたいと思っている方に最適な本だと思います。詳しい人は怒るかもしれないので読まない方が良いかと思います。でも読み終わった後には完璧な人間なんていないし、哲学にも完璧はないのだと気持ちが軽くなる。そんな本でした。

医療DX推進体制整備加算

2024年10月から医療DX推進体制整備加算が3段階に再編されます。医療DX推進体制整備加算は次の3段階に再編されます。詳しくは下記をご覧下さい。
医療DX加算概要

簡単に説明すると、マイナンバー保険証の利用実績と利用期間によって診療点数を変えようとするものです。全ての診療の何パーセントがマイナンバー保険証を利用しているのかによって診療報酬の点数が変わってきます。また、点数の算定が複雑になります。

最近税務も診療報酬もやたら細かくて、実務をする方の負担を考えていないような気がします。法律を作る方も大変ですが、複雑にしすぎると作る方も、受ける方も労力の無駄遣いではないでしょうか?もっと建設的な事にエネルギーを使った方が良いと思うのですが・・・国力が低下しそうで不安になります。

ふるさと納税ルール変更

ふるさと納税のルールの見直しが10月からされることになりました。顧客にも聞かれるので少しお話ししたいと思います。所得税の寄付金控除や住民税のふるさと納税の控除については変更はありません。返礼品に変更があります。現在返礼品は地場産品基準というその地域で作られた物というのが原則ですが、その作られたというのが製造も販売もその地域内なら大丈夫ですが、製造は他の地域で販売がその地域の場合、全体の価値としてその地域で作られた物の価値が半分以上である場合のみ適用になります。つまり製造が他の地域で1500円でその地域に納められ、その地域で1000円の価値を付して2500円の商品となっている場合、その地域での価値は1,000/2,500の40%ですからその地域での返礼品とすることができなくなります。厳しいですね。返礼品として出す方も大変な計算をする羽目になっています。

また、1人1泊50,000円を超える宿泊施設の利用券の返礼品についても、その施設が同じ都道府県内のみで営業している施設であることが条件となりました。ですから今後は〇〇リゾートの返戻金は廃止になります。ただし、災害等の被災地での宿泊費や1人1泊50,000円以下の宿泊については大丈夫だということです。返礼品事業者について産地偽装が相次いでいるそうで、自治体の定期的な調査や確認も厳格になるようです。ですから上記に該当しそうなら10月からは廃止になりますので9月中に寄付をする必要があります。9月中に寄付したものについては利用が10月以降でも使えるようです。あと10日なのでお気に入りの返礼品が該当する場合はお早めに!

国家戦略特区

私は9年前から家事代行サービスを利用しています。8年間は日本人のスタッフが着て、希望する箇所の掃除を3時間してくれて帰りました。それが昨年から、予約時に外国人でも良いでしょうか?と言われるようになりました。それは構わないので構いませんとお答えすると、昨年から外国人の方がいらっしゃいます。1度フィンランド人でしたが、それ以後はフィリピン人です。フィリピンの女性は比較的背が小さくて目がクリっとしていて可愛い方が多いです。また、真面目できちんと仕事をしてくれます。

私が自宅で使っている家事代行サービスはベアーズですが、ベアーズのホームページを見ると、国家戦略特区家事代行サービススタッフについてというページがあります。対応言語は英語・日本語・タガログ語、フィリピン現地で2カ月に及ぶ研修と来日後研修を経て現場に出るようです。掃除スキルだけではなく、日本の生活様式やマナーなども学んでくるようです。恐れ入りました。

旅行などに行くと、どのホテルも外国人のスタッフが多いですよね。日本人だけでは多くの業界で人手不足ですから、ますます外国人労働者が増えますよね。そうして鎖国気味だった日本にもグローバルの流れが流入して変わっていくのですね。多分これからもドンドン増えていくことでしょう。そして日本は国際化しているつもりでも現在においては実際は全くしていないので、今後少しずつ国際化していくでしょう。どんな場面でも変化に対応できるよう受け入れられる自分でいたいと思います。