エシカル消費

エシカル消費とは、倫理的に正しい消費のことをいいます。最近の消費者の間ではCSR(企業の社会的責任)を重視する人が増え、ただ安いだけの消費ではなく、社会的にためになる消費をしようとする傾向があります。例えば売上の一部を義援金にしますというのはその最たるものでしょう。

最近はインターネットが普及し、価格が低いものを探そうと思えばいくらでも出てきます。この前、私の顧問先ではありませんでしたが、町の印刷屋さんのお話を聞きました。近くの同業者が景気が悪い(赤字が続く)や後継者不足でどんどん潰れていって、自分の工場に注文が殺到しているので夜も寝ずに働いているが、単価が安くてやればやるほど赤字になると言うのです。8,000円位の注文で印刷ミスをして紙代の損害を補償して40,000円支払ったという話もされていました。町工場で夫婦2人でやっているような感じでした。

睡眠不足で死にそうになりながらやって、やればやるほど赤字だなんて・・・もしかして、自分の会社の損益分岐点や1つ当たりの原価も把握せずに注文があれば、やみくもにやっているのではないか。と思いました。

100円でものを仕入れて、90円で売ったら、赤字になることは明白です。でも製造業ですと、30円で材料を仕入れて90円で売ったら一瞬黒字になるような気がしますが、実際はそれに加工賃や人件費やそれに伴う付加価値に対して経費がかかります。その経費が80円かかるとしたら、90円-(30円+80円)=-20円 つまり1個当たり20円の赤字です。そうやればやるほど赤字なのです。顧問税理士はちゃんとそのことを伝えなくてはいけません。

このような法人は1個当たりの原価を把握させ、○○円以下では注文は取らないと断る勇気が必要です。このように採算無視で注文をどんどん取る法人が増えると、採算を考えてわずかな利益を取る法人の注文も取られてしまいます。そろそろ激安重視の消費はやめ、エシカル消費に移行する時かもしれません。