ゲーム理論(合理的なブタ)

ゲーム理論で有名な話として前回、囚人のジレンマのお話をしましたが、今回は合理的なブタと名付けられているゲームのお話をします。

大きなブタと小さなブタが1つの檻の中にいます。檻の中にレバーがあってそのレバーを押すと餌が出てきます。でも餌が出る場所はレバーの反対側です。レバーを押したブタは反対側まで走らなければなりません。しかし、押さなかったブタは餌場で待ち受けていて、先に餌を食べることが出来ます。

小さなブタがレバーを押すと大きなブタが先に全て食べ尽くしてしまいます。しかも小さいブタは体力を消耗します。
大きなブタがレバーを押すと小さいブタが先に食べ始めますが、全て食べる前に大きいブタが駆けつけて大きいブタも食べることができます。(独り占めはできませんが・・・)
両方のブタが同時にレバーを押すと、2対1の割合で大きいブタの方が沢山食べれます。
両方のブタがどっちもレバーを押さないといつまでも食糧にありつくことはできません。

その時の利益を表にした場合、下記のようになります。




どちらのブタがレバーを押すでしょう?

答えは、大きなブタがレバーを押します。

小さいブタの表を見て下さい。小さいブタは押すを選ぶと相手が押したら1の利益、相手が押さなかったら-1です。それに比して待つを選ぶと相手が押したら2の利益、相手が待ったら0です。相手がどちらのパターンで来ても小さいブタにとっては、自分が押すより待つ方が有利です。ですから小さいブタはひたすら待つ方を選択します。大きいブタは自分も待っていると永遠に餌にありつけないため自分が押すしかないのです。

このように小さいブタは大きいブタを利用して最良の方法を手に入れています。

この小さいブタが大きいブタに勝つ方法は、しばし、中小企業が大企業に勝つ方法に比喩されます。では、中小企業が大企業より優れている点は何でしょうか?

1.大企業は会議や稟議を経ていないと実行されないが、中小企業は社長の一存で物事が実行できるためスピードがある。
2.大きな企業は過去の実績にとらわれ固定概念に執着する恐れがありますが、中小企業は実績もないので斬新で画期的なやり方(イノベーション)が出やすい。
3.大企業は予算に縛られることがあることから、モラルハザードを起こすこともあるが、中小企業は管理者がしっかりしていればその点は他の従業員にも浸透しやすい。
4.大企業は合理的に考えるのが得意だが、合理的に考えているという自負が災いし失敗することがあるが、中小企業はその時に応じ臨機応変にできることがある。
5.大企業は成熟産業で競争している場合が多く、利益率が低い場合が多い(コストリーダーシップ戦略)が、中小企業はだれもやらないそもそも狭い産業で争っている場合(ニッチ戦略)があり、利益率が高い場合がある。

どうですか?中小法人も捨てたものじゃありません。自らの強みを生かして体力のある組織を作ることは大小問わず可能なのです。