ザ・ウォーク

1974年に当時世界一の高さ地上411m地上110階ワールド・トレード・センターのツインビルの屋上と屋上にワイヤーでロープを張り綱渡りするという実話です。しかも命綱なしです。こんな狂ったことをする人がこの世に存在したのです。

彼の名はフィリップ。ワールド・トレード・センターの完成予想図が載った新聞を手にした途端、これだ!と閃いたのです。その日から彼はこのビルとビルの間にワイヤーを張り綱渡りすることで頭がいっぱいです。勿論違法なので秘密裏に行わなければいけません。また、ワイヤーを張るため協力者も必要です。

何人かの仲間を集め、どのようにロープを張ればいいか。どのように工事中のビルに忍び込むか。入念に計画が立てられます。風が強い場合に備えロープを揺らしながらの練習もします。実行当日の数日前からフィリップは興奮状態になり、周りの仲間からも狂っていると言われます。

実行当日、思っていた以上に監視の目が厳しく、時間通りに事が運びません。それでも何とか早朝に間に合い実行します。3Dで見たのですが、本当に心臓に悪かったです(笑)。何かに取り付かれたような執念に羨ましさを感じるとともに、特に印象的だったのは、インタビューで「何故、死ぬかもしれないのにやるのか」という質問に対し、彼はこの綱渡りは死ではなくむしろ、僕に生を与え生を意識させてくれる。というような発言をしていた点です。命綱なしの地上110階の綱渡りといえば、殆どの人は死をイメージしてしまうでしょう。でも彼はそれこそ”生”だと言ったのです。なるほど、極めるとはそういう事なのかと思いました。