インボイス制度注意点その5

インボイス制度については底なし沼のように問題点が出てきて、もう実務家としてどうしたら良いものかと悩むようにまでなっています。実務にはインボイス交付を受ける事が困難な取引があります。次のような場合には、インボイス交付ではなく、帳簿の保存で良いとされています。それは下記の取引です。
①税込価額3万円未満の公共交通機関(船舶、バス、鉄道)による旅客の運送
②税込価額3万円未満の自動販売機又は自動サービス機による商品の販売等
③郵便切手を対価とする郵便サービス(ポストに投函されたもの)
④簡易インボイスの必要事項が記載された入場券等が、その使用の際に回収されてしまう取引
⑤古物営業、質屋営業又は宅地建物取引業を営む事業者が、適格請求書発行事業者でない者から、古物、質物又は建物を棚卸資産として取得する取引
⑥事業者が、適格請求書発行事業者でない者から、再生資源又は再生部品を棚卸資産として購入する取引
⑦従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費、宿泊費、日当等及び通勤手当

帳簿の記載方法ですが、例えば①に該当する時は「3万円未満の鉄道料金」、②に該当する場合には「〇〇市 自販機」、「××銀行△△支店ATM」などと記載します。④に該当する場合には、「入場券等」などと記載します。⑤の取引のうち古物台帳などについては相手方の氏名及び住所を記載します。⑥の取引を事業者から購入する場合、その事業者名を記載します。書いて説明しているだけでクラクラきます。こちらは全ての事業者が対象となります。

そてとは別に基準期間(2年前)における課税売上高が1億円以下又は特例期間(前期6カ月)における課税売上高が5,000万円以下である事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に行った課税仕入れについて、その課税仕入れが税込み1万円に満たなかった場合は、一定事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められることになります。これは「少額特例」といいますが、小規模事業者だけに認められた制度です。3万円未満切符は全員対象で、1万円未満領収書は小規模事業者のみです。ご注意ください。