2024年本屋大賞6位の作品です。600ページ以上の超大作なのでゴールデンウィークの課題図書にしました。前回のブログの感想で、本屋大賞の大賞を受賞した成瀬は天下と取りにいくが陽の作品なら、黄色い家は陰の作品です。600ページ超に及ぶ文体は繊細でジワジワと戻れないところまで行ってしまいます。そう。高校も卒業していない家出少女にまともに働ける場所はありません。でも生活のためにお金を稼がなければならない。幼いときから貧困であった彼女は人よりお金に執着します。
高校の時にアルバイトで貯めたお金を親の恋人に盗まれたり、家出をしてから未成年でありながら飲み屋で働いたお金を親の無心で失ったり、違法な方法で稼いだお金を結局持ち出さずに逃げ出したり、お金に執着する割には手元に残らないという生活をします。しかも心に大きな傷跡を残したまますべてを放棄します。その後住み込みの宿や総菜屋などを転々として、20年前に逃げ出した際にお世話になった女性の新聞記事を見て会いに行くというお話です。
彼女にもう少し知識があったら・・・もしくは周りの大人がもっと社会保障の事など知っていて助けてあげられたら彼女の人生は変わっていたかもと思うと切ない気持ちになりました。なぜ黄色い家なのか小説を読むと分かりますが、風水では黄色は金運を司ると言われているからです。でもその状態は異常でちょっと病的にも感じてしまいます。ただ、まだ人生も半分あります。何としても今後の人生で巻き返しを図ってもらいたいものです。