面白くて眠れなくなる植物学

面白くて眠れなくなるはオーバーですが、かなり面白い本であったことは確かです。植物は木に葉をつけるもの。木にならず葉だけのもの。種で子孫を残すもの。根で増やすもの。種も風に乗って増えるもの。実になって鳥に食べてもらい鳥の糞に混ざり遠くまで運んでもらうもの。同じ植物でも様々な生き方や個性があります。各々の植物がそれぞれ工夫して生きているのが読んでいるうちにとても健気に思えてきます。

花は綺麗ですが人間のために咲いているわけではなく、多くは受粉のために咲いています。でも何の虫でもいいから受け入れるようにしてしまうと、他の種類の植物の花粉も受粉してしまい子孫は残せないため、一番優秀な虫(蜜蜂)だけに受粉してもらえば同じ種類の植物の花粉を受け取れます。そのために蜜蜂にしか蜜を吸えないように花の形を工夫してみたり蜜蜂が一番よく見える花の色(紫色)にして工夫する植物もいます。

実がなる植物は、鳥に運んでもらう種も未成熟なままですと、運んでもらっても芽は出ません。ですからちゃんと成熟させてから運んでもらいたい時に実が赤くなって鳥に伝えているようです。植物は動けない分、虫や鳥を上手く使い強靭な生命力で生き抜いています。私は植物が好きで自宅にはいくつか観葉植物があり、事務所では隔週で花を配達してもらっていますが、この本を読んでますます植物の事が好きになり、好きを超えて尊敬すら覚えています。植物の多面性が見られる良本でした。