配偶者居住権

昨年4月に配偶者居住権が施行されて1年経ちました。こちらが施行されて税理士として最初に思ったのは、相続が面倒くさくなるな。ということと、上手く使えばもの凄い節税になるな。ということでした。でも実際に1年経つと色々とメリットだけでなくデメリットも出てきました。そう。何でもそうなのですが、税務を複雑にすると、実務に落とし込んだ時様々な問題が吐出してきます。

まず、メリットとしては、自宅の評価が高い時、配偶者が全て相続してしまうと、遺留分の請求から今後の生活費である現金預金を相続できなくなる恐れがありましたが、その可能性が低くなり、配偶者も現金預金を相続できるゆとりができること。自宅の所有権を子供に設定して配偶者は配偶者居住権を設定することによって第二次相続の相続税が安くなること。

デメリットも出てきました。例えば何年かして配偶者が介護施設に入居せざるを得ない状況になった時、配偶者居住権を設定していない自宅を全て相続していたら、自宅を売って入居費用に充てる事ができましたが、配偶者居住権は売却できないので、病気を患って老人ホームに入りたくても自宅を売却して入居金に充てるという選択ができなくなります。配偶者居住権は親子の仲が悪くても配偶者に自宅に居住する権利を与えるという良い面だけでなく、親子の仲が悪ければ勝手に所有権を売られてしまう危険性すらあります。税務って難しいと感じる今日この頃です。