マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙

イギリスの初女性首相のサッチャー氏を知らない人はまずいないと思います。そのサッチャー氏の晩年を舞台にして、政治家時代や結婚した時や家族生活などを当時を振り返る形式で物語が進みます。晩年の主人公は夫に先立たれ、夫の幻覚を見ながら生活をしています。ここは実際に痴呆が始まっているということを言いたいのかもしれません。過去の政治家として頑張っていた頃、結婚のプロポーズを受けた時、双子の子供と海で戯れたシーン、女性蔑視の中政治家としてのぼりつめた様いろいろな思い出が走馬灯のように思い出されます。

晩年は夫に先立たれ、夫の幻想を見ながら、寂しい余生を過ごしている。思い出すことも大変だったことばかり・・・そんな風に描かれています。

サッチャー氏はイギリスで11年間女性首相として君臨しました。日本の首相の就任期間は短いので調べようとすると、何年ではなく何日と出ます。それでも就任期間が2,000日を超える人は過去に3人いて、伊藤博文氏は2,720日、吉田茂氏は2,616日、佐藤栄作氏は2,798日です。全て8年に満たない感じなのです。11年間も首相に在籍し、今から30年以上前の男性社会の中で首相になりました。日本は未だ女性首相は誕生していませんから、サッチャー氏が成しえた偉業はおそらく凄いことなんだと思います。

この映画を見て残念だと思ったのは、寂しい老人というのが前提として描かれていることです。また、過去の思い出も女性蔑視で首相になるのが大変だったとか、仕事が忙しく子供を顧みなかったとか・・・もっと違う目線から描いてほしかったと思います。おそらくサッチャー氏が11年も首相を務めたのはいやいやではなかったはず・・・それなりに達成感や充実感、家族への安心感などが必ずあったはずです。まぁこのような経験をした人は希少ですから分からなくて当然ですが、寂しいというのが前面に出すぎて、そのような部分があまり感じられなかったのが非常に残念でした。