グループ法人税制

平成22年税制改正でグループ法人税制(100%子会社等に対する税制)が整備されました。
主な改正点は下記のとおりです。

① 資産の譲渡損益の課税の繰り延べ・・・これはA親会社からB子会社へ簿価2,000万円の資産を時価3,000万円で譲渡した場合、今までは3,000万円-2,000万円=1,000円部分は税金が課税されていましたが、その部分については、課税がされないというものです。その反対取引も損失になりません。つまり、A親会社からB子会社へ簿価2,000万円の資産を時価1,500万円で譲渡した場合、今までは2,000万円-1,500万円=500万円は譲渡損として損失になり、税金を安くする効果がありましたが、それも出来なくなります。グループ外に譲渡されるまでは譲渡益も譲渡損も認識されないことになります。

② 受取配当の全額益金不算入・・・これは子会社から親会社に配当金が支払われた場合、もらった配当金から控除負債利子を控除した部分だけが益金不算入(収入とされない)とされましたが、控除負債利子に関係なく、全額収入とされません。税務上、収入とされないというのは、その部分に税金がかかってこないということになります。

③ 寄付金課税の見直し・・・寄付金はもらった方が益金になり、税金が課税されましたが、もらった方も益金不算入(収入とされない)し、支払った方も損金不算入(費用とされない)ことになりました。

多くの医療法人は親族が経営するMS法人(メディカルサービス法人)を有している場合がありますが、医療法人が持分の定めのない社団医療法人や財団医療法人の場合にはグループ法人税制の対象になりませんが、医療法人が持分の定めのある社団医療法人の場合、このグループ法人税制の対象になりますので注意が必要です。