蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷は2017年本屋大賞と直木賞をダブル受賞した作品です。これを読まないわけにはいかないでしょ。ということで早速読んでみました。様々な背景を持つピアニスト達がピアノコンクールに臨む姿が描かれています。読み始めはなんとなく退屈な感じがしましたが、読んでいるうちにハマってしまい、夜中の2時まで読んでしまってしまった!早く寝なきゃという日もあった本です。ピアニスト達が奏でるメロディーがなんか頭の中でイメージできてワクワクするような感じ・・・この前、生のオーケストラを聞いた時のような感動が本なのに感じられました。

この本の不思議なところは、主人公がいないこと。というか数人がそれぞれ主人公なところです。通常の小説では誰か1人が主人公でその人の目線で物語が綴られていきますが、この本は数人の主人公がその場面になると主観的に描かれるところです。主人公がコロコロ変わるので初めは感情移入しづらく読みづらかったのですが、読んでいるうちにその人の個性を深く知ることができ、人によってこんなにも感情というのは変わるのだなぁと思えました。そして深みにハマっていく。そんな本でした。

それと天才ピアニストと呼ばれる人達の共通して持っている才能はとにかく耳が良いことみたいです。そういえば、実在する盲目のピアニスト辻井伸行氏も楽譜が見えなくても耳だけで音を覚えるらしいです。そのことを思い出しました。この本は音がページから溢れてくるような本です。