望み

映画「望み」を観てきました。堤真一氏が父(一級建築士)、石田ゆり子氏が母(フリー校正者)を演じています。高校一年生の息子がある日行方不明になり、その友人が殺されたというニュースが流れます。息子は加害者か、もう一人の被害者である可能性が高いという情報が入ります。父は息子は加害者ではない!と信じています。母は生きて戻ってほしい!例え加害者でもと思っています。名門私立高校受験を狙っている妹(中学3年生)は加害者だけは嫌と思っています。それぞれの望みが微妙にずれたまま時が流れます。

それぞれの葛藤が切迫された状態で伝わってきます。見ていて私だったらどの人の気持ちに近いだろうと考えていました。父は取引先から息子が殺人犯かもしれないということで取引中止を言われます。顧客からもキャンセルの電話が入ります。スタッフだけが「先生これからどうするんですか?」と心配してくれます。妹は兄が殺人犯だったら私立高校は落とされると悩んでいます。母だけが今までの生活はできないかもしれないが覚悟をして息子の帰りを待ちます。

息子はサッカーの名手でしたが上級生にケガを負わされてサッカーができない身体になっていました。生活も荒れてきます。それを見た父親がある日息子に言います。「自分は大人になれば何でもできると思っていた。でも今何もしなかったら、何にもできない大人になるだけだ」その言葉を息子は書き留めていました普段無口で家族と話さないやや反抗的な息子の純粋な部分を見たような気がして目頭が熱くなりました。