巡礼の家

プロローグを読んだ時、え?これは絵はついていないけど絵本の内容のような童話?と思いました。サギが出てきました。神の遣いとしての鷺です。そのサギが四国巡礼の道後温泉にある宿「さぎのや」の初代女将に姿を変え、代々お遍路で行き場を失った人々を受け入れる宿となります。

プロローグが終わり小説が始まりました。両親が水害により行方不明となり、兄と二人きりになった小学生の雛歩が主人公です。孤独と絶望の中で雛歩はさぎのやの女将に助けられます。雛歩の身体が回復して心も回復するまでの物語です。さぎのやで働く人は皆、優しい。他人でもまるで身内のように、いや身内以上に人々に接します。最後の方ではうるっとくる内容になります。

さぎのやで働く人達は何故みな親切なのか?雛歩が不思議がります。それは普通の事のようです。さぎのやの普通が世の中の普通になればどんなに住みやすく生きやすい世の中になるか。自分が親切にすることで周りも親切にしてくれる。だから生きやすくなる。自分が困っていても必ず誰かが助けてくれる。だから誰かが困っていたら自分が助けるという良い循環が生まれます。とても心が暖かくなるお話でした。