ある男

亡くなった夫が、まったくの別人だったお話。夫が亡くなった時、疎遠だった夫の兄が法要に来た時、遺影を見て別人だと告げました。何故夫は本当の身分を告げず自分と結婚したのか、もしかしたら過去に犯罪を犯していたのか。前の夫の子供(男の子)と亡くなった夫の子供(女の子)を抱えながら、悶々とした日々を過ごします。そこから以前お世話になった弁護士に依頼して、亡き夫の身元調査をするお話。次第に真実が明らかになってきます。

結論から言えば夫は殺人などの罪は犯していませんでした。でも本来の戸籍を放棄したくなるような事情を抱えていました。誰にも言えなかった過去。愛する妻にも打ち明けなかった過去。何故連れ子の子供にあんなにも優しく接したのか。あんなに愛してくれたのか。表面には出しませんが心の中で深くなっていく闇というか思いがそれぞれの人に染み込んでいきます。

そして調べてくれた弁護士の葛藤。調べてくれた弁護士にも亡くなった夫のようなどうにもならないというか、本人は全く悪くはない事実があり、弁護士もこの調査にのめり込んでいきます。最後の最後での弁護士の選択が衝撃的でした。サラッと描かれていましたが、これって凄い事だよねと最後の最後にも驚きの展開の映画です。全体の動きとしては静ですが、心の中の思いはどんどん重く激しく動いていくお話でした。