厚生労働省の迷走

平成26年税制改正で医療法人でも事業承継税制が認められる運びとなりました。(参照:2013.12.18のブログ「平成26年税制改正大綱」)ただ、この規定の前提条件として厚生労働省の認定を受けることが必要です。認定条件はまだ、定まっていません。厚生労働省が持分の定めのある社団医療法人から持分の定めのない医療法人への移行を促進したいのであれば、この条件を厳しすぎないようにしなければいけません。以前の厚生労働省の税制改正要望をみますと、みなし贈与が課税されない4要件を満たして、定款変更によって持分なしにするとありますが、みなし贈与が課税されない4要件(参照:2010.4.12のブログ「相続税法施行令33条3項」)を認定条件にすれば、移行は進まないでしょう。そうなれば、医療法人の事業承継税制も絵に描いた餅になります。

それに比し、今度の医療法改正で医療法人の議決権を社員1人1票ではなく、出資持分に応じて可能とする定款を認めるかもしれないという報道がありました(参照:2014.1.7のブログ「医療法人 株式会社参入のおそれ」)そもそも出資持分に応じて可能とするというのは持分の定めのある社団医療法人に限った話です。

ここに話の矛盾が見えます。持分の定めのある医療法人社団から持分の定めのない医療法人社団への移行を促進したいのか。それとも持分の定めのある社団医療法人を株式会社参入を許すことによって認めていく方向に行くのか。政策としてどちらを目指すのか?それとも、持分なしに移行する法人は移行して移行しない場合は株式会社等の統合を促進するという混合政策なのか・・・

今、医療法人経営は先の見えない不安定な時代に入りました。4月からの消費税増税も大きく影響します。今後の動向を早めにキャッチしてこれからの方向性を決める必要があります。