「捜査本部」というすごい仕組み



この本は知り合いの弁護士さんが書いた本です。折角なので読んでみました。著者は警察官を辞めて司法試験に挑戦し、現在は弁護士をしています。MBAも取得していますので、MBA理論を駆使した警察組織の組織論などを書いた本だと思って読み始めました。

ところが全く違う面白い本でした。私は多くの映画を観ます。「踊る大捜査線シリーズ」をはじめ「相棒シリーズ」「SPシリーズ」最近では「ストロベリーナイト」も観ました。以前某局のプロデューサーに聞いた話によると、職業でいうと警察もの、弁護士もの、医者もの、新聞記者ものは番組を作るうえで最も多い職業だそうです。確かに人の死と向かい合ったり、感情のもつれや人間の五感に訴える臨場感を作るには刺激的な職業です。その警察という内部事情を知るのにとても効果的な本です。警察というと、幼いころはお巡りさんという印象しかありません。そして大人になると警察庁と警視庁というのが存在し、キャリアとノンキャリアというのがあるということは知りますが、だからと言って知らないことだらけです。それを分かりやすく警察ってこういうところだよ。というのを教えてくれます。この知識を以前から知っていたら、もっと警察系映画を楽しめたのではなかっただろうか。と思ってしまうほどでした。

拳銃は重くそもそも片手などでは到底発砲できるはずはなく、身に着けているだけで腰に負担がきて腰痛持ちになることから、ニューナンブという重い拳銃からアルミ合金製のSAKURAという軽い拳銃になったことなど、外部者では全く知らない情報まで書かれています。節の最後の方になると著者のユーモアあふれる文体に少し笑ったりしてしまいます。

前半は警察組織について興味ある事項がみっしり書かれていて、後半になると事例を基にMBAの知識も駆使した理論や、最後の最後には大胆にも、警察内部の仲の悪い公安部と刑事部との組織展開のあり方の提言までしていてなかなか楽しめる本でした。