給与所得者の特定支出の控除の特例

平成25年1月より給与所得にかかる特定支出の控除の特例が改正されました。特定支出とは①通勤費②転居費③研修費④資格取得費⑤帰宅旅費⑥通勤必要経費をいいます。

本年より特定支出の範囲が拡大され、従来の特定支出の範囲に、④と⑥が追加されたのが特徴となっています。④は、職務の遂行に直接必要な弁護士、公認会計士、税理士、弁理士などの資格取得費で、⑥は、職務と関連のある図書の購入費、職場で着用する衣服の衣服費、職務に必要な交際費などの勤務必要経費(年間合計65万円が限度)です。

特定支出が給与所得控除額を超える場合、その超える部分を給与所得控除額に加算することができます。改正後の判定は、特定支出が給与所得控除額の1/2を超える場合(給与等の収入金額が1,500万円を超える場合は125万円)になります。

<例>
給与収入300万円、旧法の特定支出60万円、上記④の資格所得費20万円、⑥の図書購入費5万円の場合

改正前(H24年以前)
判定   300万円×30%+18万円=108万円>60万円(特定支出控除額なし)
給与所得 300万円-108万円=192万円

改正後(H25年以後)
判定  (300万円×30%+18万円)×1/2=54万円<60万円+20万円+5万円(特定支出控除額あり)
給与所得 300万円-(108万円×1/2+60万円+20万円+5万円)=161万円

上記の改正は、平成25年分以後の所得税および平成26年度分以後の住民税から適用になります。

改正前は特定支出の控除の特例を使う人は全国でも数人程度でしたが、今回の改正で、判定が甘くなり、かつ、範囲も拡大され、しかも特定支出額だけではなく、給与所得控除額の半分も加算して控除できるので、年収300万円台で税理士試験などの勉強をしている人はかなり適用になるかと思います。一度試算してみて下さい。上記の例でも分かるように年収300万円位の人で資格取得費や図書費などが年間25万円程度ある人の場合、31万円も税金が安くなります。