ゲーム理論(囚人のジレンマ)

ゲーム理論で有名な話「囚人のジレンマ」についてお話します。

囚人AとBはある犯罪の共犯者であると疑われ逮捕されました。今2人は別々に拘束されているので、相棒がどんな対応をするのかお互い分かりません。

検事が2人に示した条件は下記の通りです。実はまだ証拠が不十分な状態なのです。

①2人とも黙秘すれば、懲役1年ずつである。
②2人とも自白すれば、懲役2年ずつである。
③1人が自白し、1人が黙秘すれば、自白した者は釈放、黙秘した者は懲役3年

どれが有利か?

これを図にあらわすと下記のようになります。



Aが自分でBが相手だと思って考えて下さい。

まず、相手が黙秘した場合、自分が黙秘なら1年、自白なら0年なので、自白の方が自分にとっては有利です。

相手が自白した場合、自分が黙秘なら3年、自白なら2年なので、自白の方が自分にとっては有利です。

相手が黙秘を選択しても、自白を選択しても自分にとっては自白の方が有利なので、ゲーム理論的には、自分にとっては自白を選択した方が有利になります。

では、本当に自白が最良でしょうか?

損なはずの黙秘を2人とも選ぶと、2人の刑期は1年ずつで、自白の場合(2年)より有利なのです。ただし、相手が自白を選択したら、自分は3年になってしまいます。これが、囚人のジレンマです。得だと思って選んでも損だと思っていた選択の方がまだ良かったという訳です。

ちなみに私がビジネススクールでこの授業を受けた時、この問題を出され、自分ならどうするか?と聞かれ紙に書いて提出させられました。私は「ゲーム理論的には、反するかもしれないが、自分は黙秘を選択します。なぜなら、自分が自白して相手が黙秘した場合、自分は0年になるが、相手が3年になってしまう。相手は私に裏切られたという思いで3年過ごすことになる。そんな思いを相手にさせるくらいなら、その逆の方がまだまし。」と答えました。

このように、個人には感情や信念があるので、ゲーム理論的に正解だと知っていたとしても、そちらを選択しない場合もあるのです。カテゴリー映画のSP-革命編-でもお話しましたが、人間は、特に個人は必ずしも合理的選択をするとは限らないのです。したがって、ゲーム理論はもう少し、集団的なもの、例えば企業レベルや国家レベルで使われています。