相続時精算課税が進まない理由

令和5年税制改正で相続と贈与の一体課税が検討されています。今は暦年贈与と相続時精算課税は選択適用ですが、国としては相続時精算課税一本にしたいようです。相続時精算課税は何故利用する人が少ないのか?それはいくつもの不都合があるからです。

①相続時精算課税は贈与時の評価が相続時においても採用されます。ですから実際の相続になった時に、評価が上がっていればあの時贈与しておいて良かったねとなりますが、その逆だと納税者はとっても損をした気分になり、それを提案した税理士にもとばっちりが来そうです→この場合、相続時と贈与時の評価の選択適用とすれば相続時精算課税制度はもの凄く増えると思います。②一度相続時選択制度を利用したらその後の少額贈与についても暦年課税は使えず全て相続時精算課税になってしまいその度に贈与税の申告が必要になる。→相続時精算課税と暦年贈与が選択制である限りこの不満は解決しません。③相続時精算課税では小規模宅地の特例が使えない。→この点も税理士がお勧めできない点の一つです。④相続がいつ起こるか分からないので例えば50年後になったりすると税理士が管理できない。→履歴の管理は税務署等がやるようにしない限りこの点は難しいのではないかと思います。

上記のような問題点を解消した上での相続時精算課税なのか。それとも相続時精算課税はスパンが長すぎるので相続前10年以内贈与(今は3年です。10年は例えばです。)は相続財産に含まれるとするのか。どちらがましかというと、相続前〇年以内贈与ですが、相続時精算課税一本にするなら上記不都合点の改正も要望します。